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【2022年大会】車いすテニスの部は国枝慎吾が小田凱人を下し大会2連覇

[車いすテニス・シングルス決勝]
○国枝慎吾 6-3,2-6,7-6(3) ●小田凱人

■国枝は「(小田の)ブンブン振ってくるショットに相当手こずった。相当やられた」と苦笑した。第1セットは深く打ち込むトップスピンなど多彩なショットで圧倒したが、第2セットは強打に押される場面が増えた。最終セットは5-1まで引き離しながら、4度のマッチポイントを逃し、5-6と逆転を許した。それでも最後に本領を発揮した。ブレークバックで6-6に追いつき、タイブレークで制した。

■国枝は16歳の小田を、19歳で世界ランキング1位になったカルロス・アルカラス(スペイン)になぞらえた。「今年グンと伸びて、怖いもの知らずでガンガン打っていくタイプで、凱人と重なる」。さらにこう続けて、報道陣を笑わせた。「今日はちょっとナダルの気持ちになった」。ナダルは19歳の新星を自身の後継者と見なしている。国枝もまた「これから車いすテニス界は彼を中心に回っていく」と小田の将来性に太鼓判を押す。薄氷の勝利を手にしたあと、国枝はもっと生々しい言葉で心境を明かした。「彼がデビューしてから、いつかやられるかもな、という思いはずっとあった。今日はその日になりそうだった。『あ、今日か』というのが何度もよぎった」。

■勢いを止めたのは「運が良かったところもあるし、経験値がそうしたところもあると思う」と国枝。ただ、小田の側からは勝負運では片づけられない理由が見つかる。小田は「6-5になって、正直ちょっとびびってしまった」と率直に明かした。追い上げた場面では「初めてゾーンというものを経験した。また新しい自分が見つけられた」。しかし、逆転した瞬間に「抜けてしまった」という。「最後の最後でどうしても力尽きてしまう部分がある」と小田は悔やんだ。

■今日は「その日」ではなかった。だが、車いすテニス界にとっては大きな1日となった。東京2020パラリンピックで金メダルを獲得、国枝は最大の目標を達成したが、無観客開催であったため「満員の有明のお客さんの前で」という念願はかなわなかった。だが、この日の決勝はATPのシングルス準決勝のあとに組まれ、入場する国枝と小田をコロシアムの大勢の観客が迎えた。国枝にとっては「夢が本当にかなった日」になった。

(日本テニス協会広報部)

本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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