[シングルス1回戦]
○ルチアーノ・ダルデリ(イタリア) 7-6(9),6-3 ●西岡良仁
■第1セットは緊迫した展開が続いた。今季、ツアー3勝と躍進中のダルデリは、フォアハンドの強打を軸に精度の高いストロークを続けた。西岡のプレーも巧みだった。9月に自己最高の30位をマークした23歳のダルデリとは初対戦だが、「どこに打てるのか、どういうボールからどこに打つのか好きなのか」と研究して臨んだ。その分析とゲームプランがピタリとはまった。フォアはループボールを多めに使い、想定したコースに返ってくるボールを待ち構えて、カウンターで仕留めた。西岡らしい、相手を罠にはめるプレーだった。
■だが、あとひと押しができず、タイブレーク9-11でセットを失う。「大事な瞬間に、彼が思い切って打ってきたボールにミスがなかった」と西岡は淡々と振り返った。質の高いラリーが続いた第1セットから一転、第2セットは両者、痙攣に襲われながらのプレーになった。最初にトレーナーを呼んだのはダルデリだったが、西岡もときおり脚を気にする素振りを見せる。まさしく生き残りを懸けた戦いになった。
■万全ではない状態でも、両者は駆け引きした。西岡は「(強く)打てる状況ではなかったので、なんとか耐えて、相手を動かして、ゲームをかせぐ」作戦に活路を探る。逆にダルデリは単発のウィナーねらい。ところが、サーブを含め、リスクを負ったショットがことごとくコートに収まった。これには西岡も「あんなに痙攣しているのに全部エース(ウィナー)を取られた。正直、すごかったとしか言いようがない。むしろ、痙攣してからの方がよかった」と脱帽した。西岡を応援するファンには残念な結果だが、勝ち負けを別にすれば、ラリー戦の妙味と勝負の厳しさを堪能できたのではないか。
■2週前のデビスカップ日本-ドイツ戦同様、いいプレーをしながら勝ち運が味方してくれなかった。「自分が押している瞬間の方が多く、最後の最後だけ攻め切られて、欲しいポイントが取れない」と西岡は嘆いた。それでも、「テニス自体はそんなに悪いと思っていない。攻めれる瞬間、コントロールしている瞬間も多い。(好調時に)戻っていける可能性はあるとは思っている」と語った。その表情に落胆の色は見てとれなかった。
(日本テニス協会)
本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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