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【2025/10/19】レイラ・フェルナンデスが、テレザ・バレントバを振り切って初優勝

[シングルス決勝]
○レイラ・フェルナンデス(カナダ) 6-0,5-7,6-3 ●テレザ・バレントバ(チェコ)

■予選から勝ち上がったバレントバを苦しめたのは、フェルナンデスのタイミングの早さだった。準決勝までは高い精度のショットを打ち続けたが、この決勝では自分のリズムで打つことに苦労した。「できるだけ下がらず、前に立って、できるだけ早くボールを打つ」のがフェルナンデスのスタイル。パワーテニスが幅を利かせる現在の女子ツアーでは特異なプレースタイルだ。序盤のバレントバには、通常より早く返ってくるボールに戸惑う様子が見てとれた。

■だが、第2セットには、フォアハンドのダウン・ザ・ライン、バックハンドの角度のあるクロスなど、バレントバの鋭いショットがライン際に決まる場面が増える。フェルナンデスは「彼女がレベルを上げた。私は少しミスが増え、レベルを下げてしまった」と振り返った。勝負は第3セットにもつれ込んだ。このセットはフェルナンデスが言うように「バトル」になった。

■先にブレークに成功したのはフェルナンデスだが、4-1からのゲームでブレークポイントを3度逃し、4-2からのゲームではブレークを返された。試合の行方は分からなくなった。ところが、追い上げてきたバレントバが、にわかに安定感を失った。攻撃的なショットを正確に打ち続けるのが長所だが、予選から7試合目の疲れも出たのか、リズムを乱す。フェルナンデスが2ゲームを連取して、今季二つ目のタイトルを手中に収めた。

■フェルナンデスが終盤の立て直しについて明かした。「基本に立ち返ろうと努めた。気持ちを落ち着かせ、コーチの言うことに耳を傾けた。最も重要なのは、足を動かすことだったと思う」。少し照れ笑いを浮かべたのは、言葉にしたのが「足を動かす」という、初心者へのアドバイスのような、基本中の基本だったからだろう。

■しかし、この基本がフェルナンデスを救った。フェルナンデスがこう続けた。「彼女が攻撃を仕掛けてくるようになったので、動き続けて、しっかり準備を整える必要があった」。フェルナンデスは、ライジングショットを含めたタイミングの早さと、厳しいコースを狙うプレースメントが武器。ここでもフットワークが土台になる。つまり、攻守にわたり、フットワークは生命線だった。

■勢いに乗るバレントバを止めたフェルナンデスは、四方の観客席に向かってお辞儀を繰り返した。「今週はずっと、試合後にお辞儀をしようと考えていた。でも、やり方がわからなくて、昨日、スタッフに教えてもらいました。勝っても負けても、ファンの皆さんに感謝の気持ちを表したかった」という。大阪の人々は「明るくハッピー」で「ポジティブな雰囲気を感じる」というフェルナンデスの美しいお辞儀で、大会は幕を下ろした。

(日本テニス協会)

本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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